台湾茶はなぜ丸い?|団揉(たんじゅう)から知る、茶葉の形と楽しみ方

台湾烏龍茶を飲んでいると、ふと気づくことがあります。

「この茶葉、丸い」

高山烏龍茶や凍頂烏龍茶を淹れたとき、乾いた茶葉が小さな粒のように丸まっている姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。では、台湾烏龍茶は、なぜ丸いのでしょうか。

その答えは、**団揉(たんじゅう)**という製茶工程にあります。

団揉とは、茶葉を布に包み、圧力をかけながら回転させることで、水分を飛ばしながら形を締めていく工程です。ただ、団揉について語られるとき、「味や香りを凝縮させるため」という説明を目にすることがあります。私たち茶苑 CHA-ENが実際に現場で見て感じたのは、少し違う姿でした。

この記事では、台湾・阿里山で団揉の現場を実際に見た経験をもとに、団揉が本当は何のための工程なのか、そして丸い茶葉を淹れることでどんな体験が生まれるのかを、順を追ってお伝えします。

台湾茶は、なぜ丸い?

まず結論からお伝えすると、台湾茶の茶葉が丸いのは、団揉という工程で茶葉を締めながら形を整えているからです。

ただし、すべての台湾茶が丸いわけではありません。高山烏龍茶や凍頂烏龍茶のように球状に仕上げられる球状茶葉がある一方、文山包種茶のように細長い条状茶葉として仕上げられるお茶もあります。この違いについては、記事の後半で改めてご紹介します。

丸い茶葉を作る「団揉」とは?

団揉は、大まかに次のような流れで行われます。

  • 茶葉を布で包む
  • 布ごと圧力をかける
  • 回転させる
  • 茶葉を締めていく
  • 水分を飛ばす
  • 形を丸く整える
  • この工程を何度も繰り返す

「揉捻(じゅうねん)」という、茶葉を揉んで組織をやわらげる工程と混同されることがありますが、団揉は茶葉を布に包んで圧力をかけながら揉み、回転させることで、水分を飛ばしながら茶葉を締め、形を整えていく工程です。

阿里山で見た、団揉の現場

私たちは実際に、台湾・阿里山で高山烏龍茶の団揉工程を見学したことがあります。

現場でまず印象的だったのは、茶葉を布に包む作業を人の手で丁寧に行っていたことです。そして、団揉で茶葉を回す工程自体は機械で行われていましたが、それも「機械に任せきり」というわけではありませんでした。茶師の方が茶葉の状態を見ながら、その都度軌道修正をしている姿が印象に残っています。

団揉の前後で、茶葉の様子は大きく変わります。

団揉前 団揉後
水分 湿っている 乾燥している
棒状に近い 丸い
比較的濃い緑 明るい緑

湿って棒状だった茶葉が、水分を飛ばしながら少しずつ丸く締まっていく。その変化を目の前で見られたのは、貴重な経験でした。

現場では、団揉は30回以上繰り返されているようでした。ひたすら茶葉を回しているだけかと思いきや、途中で何度も茶葉を布から開き、水分の飛び具合や形を確認する工程が行われていることを目撃しました。加熱を行うのも、水分を飛ばすためです。「回す→開いて確認する→また回す」という地道な繰り返しの先に、あの丸い茶葉ができあがっています。

台湾茶団揉の様子

団揉は、味や香りを良くするため?

ここは、誤解されやすいポイントです。

一部では、「団揉によって茶葉の細胞が壊れ、エキスが表面に出ることで味や香りが凝縮される」というふうに説明されています。しかし、私たちは、味わいや香りのベースは団揉より前の製茶工程ですでに形成されていると考えています。

団揉によって味や香りが大きく変わる、というよりも、団揉は主に茶葉の水分を飛ばし、締めて、形を整えるための工程だと捉えています。「団揉=味を凝縮させる工程」と単純化してしまうと、団揉が本来担っている役割を見誤ってしまうかもしれません。

では、なぜ茶葉を丸くするの?

団揉の目的は、水分を飛ばしながら茶葉を締め、乾燥した茶葉は小さい球型茶葉に整えられます。丸く締められた茶葉は、もともとの葉の大きさに比べてかさが減るため、保管や輸送の際にも扱いやすくなります。

丸い茶葉は、お湯を注ぐとどうなる?

ここからは、団揉の「目的」から離れて、その丸い茶葉を実際に飲んだときに何が起こるのか、という体験の話に移ります。

団揉によって丸く締められた茶葉は、お湯を注ぐと少しずつ水分を含み、ゆっくりとほどけていきます。締まっていた茶葉が開いていく様子は、台湾茶ならではの楽しみのひとつです。

1煎目より、2〜4煎目がおもしろい

私たちが丸い台湾茶を淹れる中で感じているのは、煎を重ねるごとに茶葉と味わいが変化していく面白さです。

1煎目では、茶葉はまだ6〜7割ほどしか開きません。いわば、**下準備**のような煎だと捉えています。

2〜3煎目になると、茶葉は完全に開いていきます。飲んでいて「このお茶らしい」と感じる味わいが出てくるのは、このあたりからです。私たちの感覚では、2〜4煎目が本来のお茶の味わいであり、なかでも3煎目は特に良いと感じることが多くあります。お湯につける時間が長すぎず、ちょうどよく感じられるためです。

これは、団揉の目的が「3煎目をおいしくするため」という意味ではありません。あくまで、丸く締められた茶葉を実際に淹れてみると、煎を重ねるにつれて茶葉が開き、味わいにも変化が生まれる、という飲み手としての体験です。台湾茶は何煎か楽しめるお茶ですので、1煎で判断せず、ぜひ数煎にわたって味の変化を追ってみてください。

丸い茶葉と、丸くない茶葉。何が違う?

では、台湾茶はすべて丸いのでしょうか。答えは「いいえ」です。

球状茶葉 条状茶葉
代表的なお茶 高山烏龍茶、凍頂烏龍茶 文山包種茶
茶葉の形 丸く締まった粒状 細長い
淹れたときの開き方 煎を重ねるごとに少しずつほどける 葉が開くまでの時間が短い


球状茶葉と条状茶葉、どちらが優れているというものではなく、それぞれの製法によって生まれる個性です。茶葉の形を見ることは、そのお茶がどのように作られたのかを知る、ひとつの入口になります。次にお茶を選ぶときは、茶葉の形にも目を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。

まとめ

台湾茶の丸い形には、団揉という製茶工程の技術が詰まっています。団揉が担っているのは、味や香りを凝縮させることではなく、水分を飛ばしながら茶葉を締め、丁寧に形を整えることです。

そして、その丸い茶葉にお湯を注ぐと、少しずつ茶葉がほどけていきます。1煎目は下準備、2〜4煎目が本番。特に3煎目で、美味しいと感じる方が多くいらっしゃるかと思います。

次に台湾茶を淹れるときは、味や香りだけでなく、「茶葉がどのように開いていくのか」にも、ぜひ注目してみてください。

よくある質問

Q. 台湾茶はなぜ丸いのですか?

A. 団揉という製茶工程で、茶葉を布に包み、圧力をかけながら揉んで水分を飛ばし、茶葉を締めて丸い形に整えるためです。

Q. 団揉をすると味や香りが良くなるのですか?

A. 茶苑CHA-ENでは、味や香りのベースは団揉より前の製茶工程で形成されると考えています。団揉は主に、水分を飛ばしながら茶葉を締め、形を整える工程です。

Q. 丸い台湾茶は何煎くらい楽しめますか?

A. 5-6煎までお楽しみいただけます。煎じる毎に、茶葉の広がり、味わいの変化もお楽しみください。

Q. なぜ台湾茶には丸い茶葉と細長い茶葉があるのですか?

A. 台湾茶には、高山烏龍茶や凍頂烏龍茶のような球状茶葉だけでなく、文山包種茶のような条状茶葉もあります。それぞれ異なる製法によって仕上げられています。

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