台湾茶を淹れていると、ふと「このお茶は、あと何煎楽しめるのだろう」と思うことがあります。
一杯目を飲み終えても、茶葉にはまだ香りと味わいが残っている。そのまま二煎目、三煎目とお湯を注いでいくうちに、茶葉が少しずつ表情を変えていく——それが台湾茶ならではの楽しみ方です。
茶苑CHA-ENにて、実際に梨山高山烏龍茶と蜜香紅茶を用意し、5煎目まで淹れて味わいを確かめました。そのときの記録と写真をもとに、「台湾茶は何煎まで楽しめるのか」、そして「なぜ何度も淹れて楽しめるのか」についてお話しします。
台湾茶は何煎まで楽しめる?
結論から申し上げると、台湾茶に「必ず何煎まで飲める」という決まった回数はありません。茶葉の種類や品質、使う茶葉の量、湯温、抽出時間といった条件によって、楽しめる煎数は変わってきます。
そのうえで、今回私たちが実際に淹れた茶葉については、次のような目安を感じました。
- 梨山高山烏龍茶:5〜6煎程度
- 蜜香紅茶:4〜5煎程度
これはあくまで今回の条件(茶葉の量・湯量・湯温)での目安であり、淹れ方や茶葉の状態によって前後します。「何煎までなら美味しく飲めるか」という正解を探すよりも、実際に淹れながらご自身の好みの煎数を見つけていただくのが、台湾茶の楽しみ方に近いかもしれません。
茶苑 CHA-ENにて、茶葉や色合いの変化を観察してみました
ここからは、私たちが実際に淹れて感じた変化を、茶葉ごとにご紹介します。
梨山高山烏龍茶
台湾・南投県で作られた、青心烏龍種の球型烏龍茶です。今回は茶葉2gに対して100ccのお湯を90-95℃で注ぎ、淹れていきました。
1煎目
花を思わせる香りが強く感じられます。一方、味わいはまだ少し穏やかな印象でした。
2煎目
香りの印象は1煎目とほとんど変わりませんでしたが、味わいには少し力強さが出てきたように感じました。

3煎目
香りは少し落ち着いた印象になりますが、味わいの厚みは2煎目からそれほど変わらず、安定した美味しさが続きます。
4煎目
香りにも味わいにも、まだ心地よい余韻が残っています。
5煎目
このあたりで、茶葉は完全に開き、味の輪郭が薄くなってきたと感じました。そのため、5〜6煎程度が楽しみやすい目安だと考えています。

蜜香紅茶
台湾・坪林で作られた紅茶です。今回は茶葉3gに対して150ccのお湯を90-95℃で注ぎました。

1煎目
ほんのりとした甘い香りとともに、紅茶らしい心地よい渋みと、蜜のような甘みが感じられます。
2煎目
甘い香りがより強く感じられるようになり、渋みは少し穏やかになります。蜜香の甘みは変わらず続きます。また、紅茶らしい綺麗な色合いをしています。

3煎目
香りも味わいも、2煎目と近い印象で安定しています。
4煎目
香り・味わいともに、少しずつ穏やかになってきます。
5煎目
5煎目でも紅茶らしい色合いはしているものの、茶葉も完全に開き、このあたりで味わいがやや薄くなってきたと感じました。そのため、4〜5煎程度がおすすめの目安です。

写真で見る、煎を重ねるごとの茶葉の変化
味や香りだけでなく、茶葉そのものの見た目にも、煎を重ねるごとの変化があります。
乾燥した状態の茶葉は、小さく丸まっています。1煎目でお湯を注ぐと、その丸みが少しゆるみ始めます。2煎目になると、葉の輪郭が少しずつ見えてくるようになり、3煎目以降になると、茶葉は大きく開き、一枚の葉としての形がはっきりと分かるようになります。
小さく丸まっていた茶葉が、お湯を注ぐたびに少しずつ姿を変えていく——この変化を目で追うことも、台湾茶を淹れる時間の楽しみのひとつだと私たちは感じています。
台湾茶がどのように作られ、あの丸い形になるのかについては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
なぜ台湾茶は何度も淹れて楽しめるの?
台湾烏龍茶の多くは、茶葉をきつく丸めた球型に仕上げられています。この形状は、揉捻や団揉といった工程を経て作られるもので、茶葉をしっかりと圧縮しながら成形し、水分量を整えていく過程で生まれます。
球型に成形された茶葉は、お湯を注ぐと少しずつ水分を含んで開いていきます。そのため、同じ茶葉に何度かお湯を注ぎながら、それぞれの煎で変化する香りや味わいを楽しむことができます。
団揉は、あくまで茶葉の形を整え、水分量を調整するための工程であり、「何煎も飲めるようにするための工程」というわけではありません。しかし結果として、丸く成形された茶葉がゆっくりと開いていく過程が、何煎も楽しめる台湾茶らしい味わいの変化につながっていると私たちは考えています。
団揉の工程については、こちらの記事でより詳しくご紹介しています。
なお、一般的なインド紅茶などでは、茶葉を細かく砕いた状態で一度にしっかりと抽出し、そのまま飲み切るスタイルが広く親しまれています。これは台湾茶の淹れ方が優れている、劣っているという話ではなく、茶葉の形状や、それぞれの土地で育まれてきた淹れ方の文化の違いによるものです。
「何煎飲めるか」だけではない、台湾茶の楽しみ方
改めて振り返ると、1煎目には香りの第一印象があり、2煎目には味わいの深まりがあり、3煎目以降にはまた違った落ち着きがありました。そして、その間ずっと、茶葉自体も少しずつ姿を変えていました。
「何煎まで飲めるか」という数字は、ひとつの目安にはなります。けれど、数字そのものよりも、一枚の茶葉が少しずつ開き、香りと味わいが移ろっていく過程そのものも楽しんでいただきたいと考えております。
一枚の茶葉に、何煎分もの表情がある——それは、私たちが大切にしている「品位ある茶葉との、特別な一期一会を」という言葉にも通じる感覚です。
例えば、大切な方の来客がある際、ポットで台湾茶を提供し、差し湯をしながら数煎楽しんでいただくスタイルにすれば、一緒に少しずつ変化していく時間そのものを味わうことができます。茶葉を実際に見ていただきながら、「次の一煎はどんな香りがするだろう」と一緒に待てば、より記憶に残る時間になるはずです。
一枚の茶葉が、一杯だけでなく何煎分もの物語を持っている——そのことに目を向けていただくと、台湾茶という選択肢が、今までとは少し違って見えてくるかもしれません。
まとめ|台湾茶は、一煎ごとの変化も楽しめるお茶
台湾茶は何煎まで楽しめるか——その答えに決まった数字はありません。ただ、実際に淹れてみると、「何煎まで」という数字以上に、小さく丸まった一枚の茶葉が、お湯を注ぐたびに少しずつ開き、香りと味わいを変えていく過程そのものを楽しむことができます。
もし次に台湾茶を淹れる機会があれば、何煎目まで飲めるかを数えるだけでなく、茶葉がどんな表情を見せてくれるかにも、少し目を向けてみていただけたら嬉しく思います。
よくある質問
Q. 台湾茶は何煎まで飲めますか?
A. 決まった回数はありません。茶葉の種類や量、湯温などの条件によって変わります。目安としては、台湾烏龍茶は5〜6煎、台湾紅茶は4〜5煎としております。
Q. 何煎目が一番美味しいですか?
A. 一概には言えません。1煎目は香りの第一印象が強く、2〜3煎目は味わいが深まる傾向があります。どの煎が好みかは、実際に飲み比べて見つけていただくのが一番です。
Q. なぜ台湾茶は何度も淹れて楽しめるのですか?
A. 台湾烏龍茶の多くは、揉捻や団揉といった工程を経て球型に成形されています。この茶葉は、お湯を注ぐと少しずつ水分を含んで開いていくため、一煎ごとに異なる香りや味わいを楽しむことができます。
Q. どの台湾茶でも同じように何煎も楽しめますか?
A. 茶葉の種類や品質、形状によって変わります。台湾烏龍茶や台湾紅茶のように、しっかりと成形された茶葉は、複数煎にわたって楽しみやすい傾向があります。
Q. インド紅茶などと何が違うのですか?
A. 一般的なインド紅茶は、細かく砕いた茶葉で一度にしっかりと抽出し、飲み切るスタイルが広く親しまれています。これは優劣の違いではなく、茶葉の形状やそれぞれの土地で育まれてきた淹れ方の文化の違いによるものです。